このような予測がある中で米国の軍事専門ウェブサイト「リアル・クリア・ディフェンス」は今年4月「クアッドは必ず宇宙に向かわねばならない」と主張した。中国とロシアが急速に衛星攻撃用兵器を開発し、インドもこの種の兵器をテストしている状況で「脅威に対処する最も良い方法は、中国、ロシアに外交的な圧力を加え、インドとの協力を進めて行くことのできる国際的な協力の強化だ」という趣旨だった。さらに中国が月にロボットの研究基地建設を計画するなど、宇宙開発とその利用にも積極的に乗り出していることから「オーストラリア、日本、インド、米国が月についてもより緊密な協力を行うことを考慮すべき時だ」とも分析した。
このような背景の下でクアッド首脳らによる宇宙協力が合意に至ったことで、「今後様々な次元での協力体制が築かれる可能性が高い」との見方が支配的だ。最終的には「有事に中国のミサイルやドローンを迎撃する偵察衛星を共同で運用する最初の一歩を踏み出した」との見方もある。長い目でみれば「軍事面での協力」にも自然につながるということだ。クアッド4カ国の中で安全保障分野の協力に最も消極的なインドも昨年10月、米国との外交・国防相による2プラス2会議後に署名した「地理空間協力のための基礎的な交換・協力協定(BECA)」を通じ、すでに米国の軍事衛星から情報を受け取ることに合意している。