-解放から76年たったのに「親日派清算」という主張が絶えないのも、犠牲者意識民族主義と関係があるか。
「金元雄(キム・ウォンウン)光復会長を見ると、ラウダンスキ兄弟の比喩として使われた『小さな魚』という言葉が思い浮かぶ。時流に迎合しつつ、『網』を避けていく機会主義者を指す。ラウダンスキ兄弟の二番目は、ソ連占領時はソ連の秘密警察の情報員で、ナチス占領期にはユダヤ人虐殺に加担し、共産政権になると熱烈な共産主義者になった。金元雄氏は、維新当時は共和党、新軍部時代は民政党で活動したが、生計のためにやむを得なかったと言い、今では親日清算を叫んでいる。経歴に汚点がある人間ほど、より激烈な言葉を使う」
-最近の「米軍は占領軍、ソ連軍は解放軍」論争をどう見るか。
「『解放戦後史の認識』の枠組みから一歩も抜け出せていない。それは、韓国社会が冷戦のとりことして残っているからだ。民主化以前はソ連・左翼の虐殺のみ浮き彫りにし、軍・警察・右翼の虐殺については抑え込んできたが、今では逆にソ連・左翼の虐殺の記憶は抑え込み、軍警・右翼の虐殺ばかり浮き彫りにする。スターリニズムのテロは1990年代の社会主義崩壊後にようやく東欧で本格的に噴出した。『金日成(キム・イルソン)政権』が終われば、スターリニズムのテロの全貌が明らかになるだろう」
-韓国人は絶えず日本の植民支配に対し謝罪と反省を要求している。
「韓国は今や世界トップ10圏の経済大国だ。にもかかわらず『犠牲者』の地位に恋々としている。日本も、自分たちが西洋帝国主義の犠牲者だと考えているのは問題だ。日本の植民支配を受けた韓国が『犠牲者意識民族主義』から抜け出したら、日本の『犠牲者意識』を崩すことにも寄与するのではないだろうか」
金基哲(キム・ギチョル)学術専門記者