このような一連の動きは米国国内における中国に対する世論の悪化を象徴するものだ。インターネットメディア「アクシオス」は今月7日(現地時間)、「米国人のほぼ半数が北京冬季オリンピックの開催に反対している」と報じた。米国人2875人を対象としたある調査で「中国の人権問題を理由に中国は冬季オリンピックを開催すべきでないと考えるか」との質問に49%が「そうだ」と回答したという。「そうではない」との回答はわずか14%だった。
来年秋に中国共産党では習近平・国家主席の3期目が決まる見通しだ。そのため中国共産党にとって来年2月に開催される北京冬季オリンピックはそれ以前に開催される最大のイベントとなるため、その政治的な意味合いは非常に大きい。習主席は今年1月に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話で会談し「北京冬季オリンピックは完璧な成功という名誉が得られることに自信を持っている」との考えを伝えた。2月にも自ら競技場などを視察し「重要な歴史的転換点に立った中国にとって北京冬季オリンピックは重大な指標になるだろう」と述べた。
中国政府は北京冬季オリンピック前後のオリンピック開催国である日本とフランスからオリンピック開催への支持をすでに取り付けている。さらに欧州議会や米国議会がボイコットを呼び掛けるたびに「オリンピック精神に反する政治的な動きだ」と非難し、反中世論を引っ張る議会や人権団体の関係者を制裁リストに加えてきた。しかし開催まで6カ月を切った今もなおボイコットを求める声がやむ兆しはない。フランス通信(AFP)は「欧米の政治家たちの間で北京冬季オリンピックのボイコットを求める動きが続いているが、これは中国共産党にとって大きな頭痛の種だ」と報じた。