何よりも米国と欧州諸国は中国による新疆ウイグル自治区や香港での政策を批判し、政府代表団を北京冬季オリンピックに派遣しないよう呼び掛ける「外交的ボイコット(参加拒否)」の動きが広がっている。ソ連によるアフガニスタン侵攻で欧米諸国が1980年のモスクワ・オリンピックをボイコットして以来、国際的にこれほど激しい政治的反対を受けるオリンピックはなかった。
欧州では議会が北京冬季オリンピックのボイコットを求める動きの先頭に立っている。欧州連合(EU)議会は先月8日、中国政府が香港、チベット、新疆ウイグル自治区における人権問題への検証を可能にするなど事態が改善しない場合、政府代表団の出席を拒否するよう求める決議案を採択した。英国議会下院も先月15日、北京冬季オリンピックのボイコット決議案を与野党の合意で可決した。英国議会下院は決議案で「中国政府はウイグル族のイスラム教徒を集団虐殺している」とした上で「オリンピックという誇り高いスポーツイベントは大規模な残虐行為による犯罪で非難を受ける政府のある国で行われるべきではない」と主張した。EUと英国議会の決議に法的な拘束力はないが、「北京冬季オリンピックに協力するな」という強力な政治的メッセージとして受け取られている。
米国では今年5月に議会下院のペロシ議長が「北京冬季オリンピックの外交的ボイコット」を主張した。米議会の超党派グループ「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)」も先月27日にコカコーラ、VISA、AirB&B、インテル、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)など北京冬季オリンピックの公式スポンサーを呼んで公聴会を開いた。米民主党のジェフ・マークリー上院議員は北京冬季オリンピックのスポンサーとなっているこれらの米国企業に対し「中国政府による体制の宣伝を支援している」と非難した。