韓日関係の改善に力を入れるあまり問題を起こしたこともある。国務次官だった2015年にシャーマン氏はワシントンDCのカーネギー国際平和研究所主催のセミナーで基調講演を行ったが、その際「歴史は韓中日三カ国のいずれにも責任があるので、早急に整理して北朝鮮の核問題など当面の懸案に集中すべきだ」と述べた。「日本の歴史的責任を軽く考えているのか」などの批判が相次いだが、「韓日関係改善を焦る米国の本音を反映した発言」という見方もあった。
そのシャーマン氏が今回再び韓米日三カ国による協力の復元に投入された背景には、三カ国協力を重視するバイデン大統領の意向があったようだ。バイデン大統領は就任後に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と日本の菅義偉首相に相次いで韓日関係改善を求め、三カ国首脳会議の開催も引き続き要請している。ワシントンのある外交筋は「韓日関係改善と韓米日三カ国による協力の強化はバイデン大統領が重視している問題だ」「そのためホワイトハウスと国務省のいずれも機会があるたびに韓国と日本を一つの席に集めようとしている」と説明した。
シャーマン氏は2000年代はじめには北朝鮮の核問題における交渉、また15年にはイラン核合意をめぐる交渉のいずれにも関与し「白髪の魔女」とも呼ばれた。それだけ業務スタイルが執拗で冷静ということだ。交渉相手だったイランのパルス通信もシャーマン氏について「ほうきを振り回す魔女」と表現した。