韓国経済は不動産・株式などの資産バブルと膨大な額に膨らんだ家計債務という2つの時限爆弾を抱えている--。韓国銀行がそう警告した。金利が上昇するか、国内外に衝撃要因が生じれば、リスク要素が韓国経済に大打撃を与えかねないとの見方だ。韓銀は22日発表した金融安定報告書で、所得よりも急速に膨らむ家計債務、世界最速で上昇する不動産価格、借金による投資で押し上げられた株式市場の過熱ぶりなどを経済の不安要因として挙げた。
韓銀のそうした診断は李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が最近、「金融不均衡が拡大しており、適当な時期に政策金利を引き上げる必要がある」と繰り返し言及してきたことにも通じる。韓国政府が過去最大規模となる35兆ウォン(約3兆4200億円)規模の追加補正予算を通じ、コロナ災難支援金の給付を準備する中、韓銀は金融不均衡を挙げ、資金供給ではなく、資金回収の準備を始めた格好だ。韓銀が指摘する「金融不均衡」とは、債務の急激な増加、資産価格の過度の上昇、株式などリスク資産に対する投資拡大などが同時に起き、金融が不安定化し、実体経済にも飛び火しかねない状態を指す。
■所得よりも借金が急速に増加
コロナ禍の中、世界の主要国は大半が金利を底にまで引き下げ、巨額の資金を供給する「経済の応急処置」に踏み切った。その結果、全ての国で債務が膨らみ、資産価格が上昇した。しかし、韓国はその速度が記録的に速かった。政権初期に「不動産との戦争」を宣言した文在寅(ムン・ジェイン)政権の不動産政策が失敗し、住宅価格は急激に上昇した。パク・チョンソク韓銀副総裁補は「家計債務は住宅関連の資金需要などで高い伸びが続き、資産価格は急激に上昇した。(返済猶予など)コロナによる金融支援措置などが終了する過程で、脆弱世帯を中心に不良債権リスクが増大しかねない」と指摘した。