■コロナで急騰した株価がバブル化
昨年コロナが大流行すると、韓国製薬業界では治療剤の開発を目指す製薬・バイオ企業が雨後のたけのこのように登場した。鍾根堂、大熊製薬、GC緑十字などの大手製薬会社だけでなく、中小の製薬・バイオ企業など10社余りが参入した。セントリオンは抗体治療剤、緑十字は血漿治療剤を開発中だ。残る企業は既存の医薬品成分のコロナ治療効果を確認する「ドラッグリポジショニング」を進めてきた。これら企業が「新薬開発着手」「動物実験で優れた効果」「臨床試験開始」といった報道発表を行うたびに株価はストップ高となった。
しかし、1年余りが経過した現在、これといった成果を上げた企業はない。セントリオンが今年2月、条件付き認可を獲得しただけで、大半の企業はまだ臨床試験段階だ。急性膵臓炎治療剤「ナファベルタン」をコロナ治療薬として開発している鍾根堂も緑十字のように食薬処に条件付き認可を申請したが、3月に認可が下りなかった。条件付き認可を受けたセントリオンですら、開発した抗体治療剤「レッキーロナ」による治療効果は医学界で論争となっている。バイオ企業クリスタルジノミクス、ニュージェンセラピューティクスは昨年、食薬処から臨床試験の実施を承認されたが、まだ試験対象者を募集している。中央大薬学部のソ・ドンチョル教授は「韓国の製薬会社の規模と研究開発人材からみて、国産治療剤の開発は容易ではない」と指摘した。