現行法にも「緊急消防活動中に車が損傷した場合、不法駐停車中だった車は損失補償が受けられない」という条項がある。しかし現場では今も「強制処分」をためらうようだ。ソウル市内のある消防署関係者は「火災が発生した際、その時が緊急の状況にあったことをまずは立証しなければならないが、たまに煙だけを見て間違って通報されるケースもある。そのため現場に到着するまでは火災状況の正確な把握は難しく、やたらと強制処分するわけにはいかない」と語る。また別の消防官は「不法駐車中の車の間を通り、後から車が損傷したとの連絡が来た場合、上から『なぜそんな運転をしたのか』『その程度も自分で対処できないのか』といった叱責(しっせき)を受けることがある」と説明した。この消防官によると、事故が発生した場合は100万ウォン(約9万7000円)までは5-6人のチームのメンバーが少しずつ修理費を出し合い、100万ウォン以上の場合はメンバーと運転手がそれぞれ半分ずつ負担するという不文律があるという。
又石大学消防防災学科のコン・ハソン教授は「火災現場での1-2分は人を助けられるかどうかが決まる時間だ」「出動して車を破壊した消防官にはインセンティブを与えるなど、その対応については大幅な見直しが必要だ」と指摘した。