韓国消防庁が25日に明らかにしたところによると、全国の消防本部が実施した不法駐停車中の車両取り締まりによる摘発件数は昨年1万617件で、過去最多を記録した。2019年には3305件だったが、それが3倍以上へと一気に増えたのだ。この期間に徴収された過料などの額も1億5191万ウォン(約1471万400円)から5億3384万ウォン(約5170万900円)へと一気に跳ね上がった。消防庁の関係者は「消防車の道を空ける訓練や取り締まりが積極的に行われたことや、コロナ後に住宅地での駐車が増えたことも原因だろう」とコメントした。
不法な駐停車の影響で消防車が動けなくなった場合、消防官たちは火災現場の数百メートル前から重さ30キロの装備を抱えて走っていかねばならない。ヘルメットや防火服などで22キロ、これに消防用のホースやスタンドパイプといった装備も合わせればこれくらいの重さになるという。
現行の消防基本法には消防活動に妨害となる駐停車中の車両については除去や移動が可能な「強制処分」に関する条項があるが、2018年6月から今年3月までの2年9カ月間で実際にこれが施行されたケースは1件もなかったという。上記の消防庁関係者は「車が破損した場合は現場にいた消防官たちが訴訟や抗議を受けるなど負担を負うことになり、また消防車が破損し出動できなくなるケースも起こりかねないため、強制処分はできないようだ」と説明した。英国など海外では厳しい免責事項があるため、消防官は車を破損してでも積極的に消防活動を行うが、韓国ではそうはいかないということだ。