【萬物相】養子縁組という祝福

 昨年の養子縁組の件数は492件(うち海外養子縁組は232件)で、最初に統計が取られた1958年以来最も少なかったという。養子をめぐる悲惨な事件も相次いで報じられ、何とか養子を決意した人をためらわせることもある。昨年10月にはチョンインちゃんが養父母から虐待を受け死亡するという衝撃的な事件も起こった。そのショックは今も忘れられないが、わずか2歳の子供を「ぐずった」という理由で殴り重体にした養父は逮捕された。

 養父母たちは養子縁組みについて「親のいない子供に一方的に与える恩恵」とは考えていない。作家キム・イソルの短編小説「今日のように静かに」は養子縁組が親と子の双方にとって祝福となる話だ。小説では生理から来るうつ病で死の誘惑に苦しむ女性が、母親を失ったショックで失語症になった少女を娘として迎える。母親となったこの女性は自殺の衝動から抜け出し、人生に対する意欲を取り戻した。また母親を持った子供も失語症を克服するというストーリーだ。

 本紙5月13日付に心で生んだ娘を育てるソウル市江東区に住むチョ・ホジェさん夫妻を紹介する記事が掲載された。男の子と女の子の2人の子を持つチョさん夫妻は3年前に末っ子のソンウンを養子として迎えた。チョさんは「子供のおかげで幸せだ」「ソンウンは天が与えてくれたプレゼント」と語る。夫婦だけのプレゼントだろうか。養子への虐待事件で傷ついた国民にとってもチョさん夫妻の話はプレゼントであり慰めになる。ソンウンと家族が今後も愛情を分かち合い幸せになることを願っている。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

■子どもが住みやすい国8位は韓国、日本は?

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