■グローバリズムと政治的自由
海外市場を意識したグローバリズムもまた、韓国を「出藍」へと導いた要素の一つに挙げられる。昨年末、東京新聞は「第4次韓流ブーム」を紹介する記事で「内容の多彩さ、斬新さだけではなく、世界の市場を意識した販売戦略にも注目したい」とつづった。強大な世界的ファン層を確保した韓国大衆文化の底力として、世界に向けての「オーダーメード型マーケティング戦略」が存在する-と指摘したのだ。
Kポップは、準備段階から海外のメンバーや作曲家を迎え入れて海外のファンを攻略するなど、その形式・内容いずれもグローバル化した。韓国ドラマも、世界最大のオンライン動画配信サービス「ネットフリックス」と手を組み、世界の視聴者を意識したコンテンツを制作し、テレビや映画館を経ずともすぐに世界の人々へ作品を届ける。逆に日本は内需市場に集中する傾向があり、また「クール・ジャパン」のような政府主導の文化プロジェクトが、海外攻略のための民間部門の力動性をそいでいるという分析がある。両国のドラマ輸出の実績において、韓国(2億4000万ドル=約261億円)は日本(3200万ドル=約35億円)の8倍に達するのが端的な例だ。
自由にコンテンツを制作する雰囲気が韓国大衆文化の競争力を引き上げた決定的要素、という意見もある。ソウル大学言論情報学科のホン・ソクキョン教授は「韓国は民主化以降、他のアジア諸国に比べ総体的に自由な環境の中でコンテンツを作ってきており、この点が他と違っていた」と語った。中国や東南アジアはもちろん日本すら、保守的な社会の雰囲気のせいで、希望するテーマを思い通り表現するのは難しいケースがあるのと比較される部分だ。韓国の大衆文化の躍進には「政治的要素」も一働きした、というわけだ。
イ・テドン記者