国際関係では、時として「評判」が国家の実際の姿以上に影響力を発揮する。世界の火薬庫の一つが、南シナ海の島の領有権と航行の自由の保障を巡る問題だ。中国・米国をはじめ、ASEAN(東南アジア諸国連合)の6カ国がぶつかり合っている。ベトナムは、地図に「南シナ海」(South China Sea)ではなく自国の基準で「東海」(East Sea)と表記している。ベトナムはASEAN加盟国の中で唯一、中国の頭ごなしな領有権主張に手抜きせずきちんと、論理的に反論してきた。中国が巨大な軍艦を出動させたら、ベトナムは小さな軍艦であっても出して対抗した。膝を屈さなかった。そうしつつも、中国を名指ししたり(naming)公に恥をかかせたり(shaming)はしないという、自ら定めた一線を守った。このようなベトナムに、中国もあえて向き合うことはできない。
一国が平和のためという名分で無理な要求に立ち向かうことを恐れるならば、それがきっかけとなってついには丸裸にされていまう。義外交の末路だ。ベトナムは知恵と胆力で融和主中国を相手にし、韓国は逆のやり方で北朝鮮と中国に向き合ってきた。国際社会においては、どちらの評判が上だろうか。答えは聞かなくとも明らかだ。
姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問