【コラム】中国は「やるべきことをやって言うべきことを言うベトナム」をぞんざいに扱えない

自分が持てないカードを夢見て国を誤らせる「夢想外交」
北朝鮮・中国の前に立つと口を閉ざして小さくなる韓国…評判を気にするべき

 国家指導者の中心的要件として、未来を見通して備える「先見力」が挙げられる。しかしそれは、1920年代のドイツの政治混乱と経済破綻の渦を見てヒトラーの登場を予測していたチャーチルのような、抜きんでたリーダーにこそ望み得る資質だ。平凡な指導者は、過ぎ行く過去と目の前にある現在だけでも正確に読み取ることができれば合格だ。そのためには、より重要なことのためにあまり重要でないことを後回しにするバランス感覚が必要になる。未来に備えるための借金と、きょうの宴会のために取り寄せた借金の結果が、同じということはあり得ない。コロナが落ち着くころには、借金をして未来に備えていた経済と、借金で祝宴を張っていた経済がはっきりと分かれるだろう。

 国家指導者が「できること」「できないこと」「してはならないこと」をわきまえてこそ、国の進路が安定する。現実を現実の通り認識することが第一歩だ。国際関係において現実主義は、自分が持っているカードを適切に運用することで国家目標を達成する知恵だ。そういう意味で、現実主義外交の反対語は理想主義外交ではなく、自分が持てないカードを夢見て国を誤らせる「夢想外交」「執着外交」になる。バイデン大統領にトランプの北朝鮮政策を継承しろと注文するのが、その例だ。

 相手の仮面に惑わされると国が危うくなる。金日成(キム・イルソン)は公式に、または秘密裏に、およそ40回にわたり中国を訪れた。その中でも2度の訪中が特別だった。1度目は6・25南侵を目前に控えた1950年5月の訪中だ。このとき、南侵を協議した。南ベトナムのサイゴン陥落後、1975年4月の訪中も怪しかった。金日成は毛沢東・周恩来・トウ小平と順次会談を行い、中国が北朝鮮を支援するなら「失われるものは軍事境界線で得るものは統一」だと、事実上の武力統一に対する支援を要請した。6・25で同胞数百万人を殺傷しても、金日成は変わらなかった。当時中国は米中関係改善に没頭していたので、返答を得ることはできなかった。金日成の孫は、祖父とどれほど違うだろうか。

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