このような調査に関する公文書は、ソウル市議会が今年初め可決した「親日反民族行為清算支援に関する条例」などに基づくものだ。これまで全国教職員労働組合(全教組)や民族問題研究所などの市民団体は市・道の教育庁に「学校内の親日残滓を清算すべきだ」と主張してきたが、条例が作られたため、法的根拠ができたことになる。全教組ソウル支部は2019年、ソウル地域の小中高校113校を名指しして、「親日派が作詞・作曲した校歌をを変更する必要がある」と主張した。
ソウル市教育庁は調査が終わったら、歴史学者・市民団体関係者らからなる「日帝植民残滓清算推進団」を通じ、学校別にコンサルティングを行い、年末までに作業を終える計画で、このために5000万ウォン(約490万円)前後の予算も組む方針だ。ソウル市教育庁の担当者は「強制ではなく、各校が構成員間協議を経るものだ」としている。
■「過去にばかりこだわる官製民族主義」
問題は、ソウル市教育庁が「日帝残滓」かどうかを判断する基準として、民間団体「民族問題研究所」が2009年に発行した「親日人名辞典」を提示していることだ。この辞典は韓国陸軍初の大将・白善燁(ペク・ソンヨプ)将軍や、日本の植民地支配に憤る論説文「是日也放声大哭」を書いたジャーナリスト張志淵(チャン・ジヨン)も親日派と規定するなど、選定基準が偏向的だと批判されている。韓国教員団体総連合会(韓国教総)のシン・ヒョンウク政策本部長は「親日残滓清算は必要だが、歴史的事実に対するきちんとした調査や評価が不十分な状況なのではないのか」と述べた。