【コラム】朴正熙の原発、金日成の核爆弾

南の恩恵を受けて育ち北をあがめる586主体思想派
「善悪の双生児」とも言える南北の歴史を振り返ってほしい

 2018年の南北首脳会談直後、韓国産業資源部(省に相当)の職員らは北朝鮮に原発を建設する案を文書として作成した。この文書には「建設が中断している新ハンウル3号機と4号機の原子炉(APR1400)を咸鏡北道琴錦地区に建設する」という文言もある。APR1400原子炉は韓国が開発しアラブ首長国連邦(UAE)に輸出した大韓民国における原発の歴史の結実体だ。これを北朝鮮に持っていき原発を建設するというのだ。

 李承晩、朴正熙の大韓民国が与えてくれた恩恵を受けて育ち、今も金日成、金正日(キム・ジョンイル)の北朝鮮をあがめている彼らこそ、1980年代に大学生だった主体思想派だ。彼らは薄っぺらい知識と深い傲慢(ごうまん)によって大韓民国の誕生を否定し、その成長過程を軽蔑した。586(現在50代で、1980年代に大学に通った60年代生まれ)となった今もそれが続いているかは分からないが、その彼らが今政権の中枢にいる。原発を北朝鮮に送るというアイデアも彼らの頭のどこかから出てきた。非核化さえ実現すれば、北朝鮮への原発支援はいくらでも可能だ。ただ586には、北朝鮮に原発を作るアイデアを出す前に、韓半島で展開していた過去60年の歴史を振り返ってみてほしい。善悪の双生児とも言える南北についても改めて考えるべきだろう。そして軽々しく裁いたり断罪したりするのではなく、歴史の前にもっと謙虚な思いを抱いてほしいものだ。

李東勲(イ・ドンフン)論説委員

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