つい最近まで韓国政府は「北朝鮮との交渉テーブルで人権問題を取り上げることは優先順位が低い」(康京和〈カン・ギョンファ〉元外交部長官)との立場を維持してきた。これに対して国連のトマス・オヘア・キンタナ北朝鮮人権特別報告官は今月10日の国連人権理事会で韓国政府に対し「北朝鮮と交渉する際、人権問題も同時に取り上げるべきだ」と公の席で勧告した。ある外交筋は「国連に続いて米国も、北朝鮮の人権問題から顔を背ける文在寅政権の『職務怠慢』を指摘してくる可能性が高い」との見方を示した。
これまで国際社会は北朝鮮の人権問題に関する韓国政府の対応についてたびたび指摘してきたが、トランプ前政権はこれを問題視しなかった。ところがバイデン政権では国務省東アジア太平洋次官補に抜てきされたジョン・パク元ブルッキングス研究所韓国フェローをはじめとして、国際社会におけるこれら一連の認識と考え方を同じくする人物が少なくない。
このような中で北朝鮮は中国の人権問題に対する欧米諸国からの批判について「内政干渉」「虚偽で捏造(ねつぞう)」「不純な政治的目的」などと批判した。北朝鮮外務省が20日に発表したところによると、ジュネーブ駐在の韓大成(ハン・テソン)北朝鮮大使は先日の国連人権理事会での演説で「一部の国が中国の新疆ウイグル自治区や香港問題を中国に対する内政干渉に利用しているが、これらは直ちにやめるべきだ」「不純な政治的目的のために一部主権国家における人権状況を虚偽と捏造資料に基づいて犯罪視している」などと主張した。
韓大使の発言は、バイデン政権が人権問題を対北朝鮮政策における重要問題として取り扱うことを予告した中、中朝の蜜月関係を誇示すると同時に、人権問題については「同病相哀れむ関係」であることを示したものと解釈されている。