かつて北朝鮮外交官だった脱北民の高英煥(コ・ヨンファン)元韓国国家安保戦略研究院副院長は「1990年代の苦難の行軍当時でさえ平壌駐在の外交官たちは外交団商店で普通に生活必需品を購入できたが、今は国境封鎖の影響で生活必需品の調達が完全に途絶え、基本的な生活も成り立たなくなっているのだろう」と予想した。
平壌は北朝鮮で最も恵まれているが、外交官たちがそこからも脱出しなければならないとすれば、平壌現地の経済難も非常に深刻との見方が当然出るはずだが、これを裏付ける具体的な兆候は確認されていない。昨年の北朝鮮の貿易総額は前年比で80%も減少したが、為替や物価は比較的安定した状態が維持されている。
これは殺人的な経済難の中でも北朝鮮当局が平壌を特別管理しているためとみられる。北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋は「調味料、化粧品、ぜいたく品など海外からの物資調達は難しいが、今すぐ飢え死にするほどの状況ではなさそうだ」と伝えた。
しかし平壌以外の地域は非常に困難な状況が続いているという。かつて北朝鮮の政府関係者だったある脱北者は「平壌共和国という言葉がなぜ使われているか。それは体制を支える党、政府、軍の核心階層が集まって生活する平壌に北朝鮮政権が全ての物資を優先的に供給し、そのためそれ以外の地域を犠牲にしているからだ」とした上で「このような状況が今後も続けば、北朝鮮体制の耐久力は急速に弱体化するだろう」と予想した。