今、文政権が推進しようとしている方向性は、20年前の「外交惨事コース」だ。バイデン政権は、地政学的・軍事的・経済的な側面での中国の挑戦を最大の脅威と捉え、これに対応する核心戦略として同盟ネットワークと民主主義の連帯を強化しようとしている。バイデン政権は、中国を狙った同盟ネットワークを強化する上で、韓国を最も弱い関係と見なしていることだろう。
トランプ大統領は、韓国を同盟よりも「米国優先主義」の次元で扱った。 韓米同盟に対する価値があまり付与されなかったため、文政権の中国偏向的な態度に対し、これといった立場表明を行わなかった。しかし、バイデン政権は韓米同盟を重視し、韓国の役割に対する期待があるだけに、韓国に明確な立場を求めるものと予想される。
20年前の外交惨事から教訓を得ることができなければ、金与正(キム・ヨジョン)氏が命令する通りに法を整備し、人事を行ったとしても、北朝鮮は文政権の望みを聞き入れないだろう。北朝鮮が南北連絡事務所を爆破し、煮込んだ牛の頭、最大の間抜けと非難を浴びせている理由は、逆説的だがハノイ会談の失敗で文政権が米国にまったく影響力がないという点を悟ったためだ。現実味のある対北認識とともに、同盟として信頼を与えるとき、バイデン政権が耳を傾け、北朝鮮の前向きな動きを期待することができるだろう。
尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外大碩座(せきざ)教授・元国立外交院長