■サムスン、人材流出の懸念も
韓国企業はつらい立場だ。サムスン電子は中国・西安、SKハイニックスは中国の無錫、重慶に半導体工場を持ち、米日台と台湾のどちらかに付くことが難しい状況だ。米日台連合が強固になれば、サムスン電子はTSMCとの競争でも急速に不利な立場に追い込まれ、さらに中国企業に人材と技術を奪われるという二重苦を味わうとの見方もある。現在サムスン電子のファウンドリー市場でのシェアは17%で、TSMC(54%)の3分の1にすぎない。
日経は8日に掲載を開始した「サムスンの暗闘」と題するシリーズ記事で、「(サムスン電子に)中国の影が忍び寄る」とした上で、「SMIC所属の研究員として62人の韓国人の氏名が確認された」などとサムスン電子からの半導体人材の流出が増えていることを伝えた。日経はTSMCとサムスン電子の違いについても集中的に分析した。TSMCはサプライヤー各社との共存共栄、オープンイノベーション(協業による技術革新)を掲げ、サムスンを上回る急成長を遂げているが、サムスン電子は韓国政府の圧力で素材の国産化を試み、サプライチェーンを揺るがしているとの指摘だ。日経は「(サムスンが)世界を舞台に激しい競争を繰り広げながらも、国内では世論や政治に振り回される状況は今も変わらない」と評した。