対北朝鮮原発支援構想は安保の観点からも問題視されている。国際社会は1994年のジュネーブ合意に基づき、韓半島(朝鮮半島)エネルギー開発機構(KEDO)を構成して咸鏡南道新浦に軽水炉2基を建設することにした。当時は軽水炉では核兵器の原料となるプルトニウム抽出が不可能だと見られていたが、その後の技術発達で評価が変わった。さらに、以前とは違い、今の北朝鮮は「核武力完成」を宣言した状態だ。経済社会研究院の申範チョル(シン・ボムチョル)外交安保センター長は「非核化合意や国連の承認なしに北朝鮮を対話の場に引き出すため、韓国の原発技術や情報を渡そうとしたなら、深刻な問題だ」と言った。
北朝鮮は2005年の6カ国協議「9・19共同声明」と軽水炉提供をしつこく求め、合意文に「適切な時期に軽水炉提供を話し合う」という文言を盛り込ませるなど、原発に強い執着を見せている。北朝鮮の非核化が確実に担保されるならば、北朝鮮の電力不足解消のため原発提供などを検討することもできるが、新浦の軽水炉のように、北朝鮮が約束を破って核開発を続けるなら、北朝鮮の核問題はいっそうこじれ、天文学的な額の金銭ばかりが吹っ飛ぶ結果を招きかねない。
イム・ミンヒョク記者