このように脱原発総力戦を繰り広げているさなかに、産業部は北朝鮮に原発を建設する案を検討する文書を作ったということだ。野党や専門家の間で「文書通りなら、政府が脱原発政策の名分と根拠を自ら否定したのも同然だ」「現場の公務員が上部の指示なしにこのような文書を作成することができるだろうか」という批判と疑問が相次いでいるのもこのためだ。
「新ハヌル原発3・4号機完成後送電」が検討されたのもダブルスタンダード(二重規範)だ。新ハヌル3・4号機は現政権に入って建設が無期限中止され、建設許可期間が満了する来月以降、前面白紙化手続きを踏むことが期待される。新ハヌル3・4号機の埋没費用は斗山重工の機器事前製作費用4927億ウォン(約461億円)と土地購入費などを合わせて7900億ウォン(約740億円)と推算される。蔚珍地域の急激な景気委縮などによる損失も約400億ウォン(約37億円)に達することが分かった。このため、原発業界と地域社会の訴えには耳を閉ざしながら、北朝鮮を支援するためには180度違う政策を検討していたという批判が出ている。
■環境、安保の観点からも問題
「DMZ原発建設案」についても「親環境(エコ)」を強調する政府の論理に矛盾するという指摘がある。文大統領は2019年にDMZ観光活性化を強調しながら、「我々の世代が経験した紛争の時代、自然破壊の時代を抜け出さなければならない」「将来の世代が清潔で美しい環境を享受できるよう、平和観光・エコツーリズムを積極的に支援する」と言った。 2019年の国連総会演説では、南北共同DMZユネスコ世界遺産登録事業推進も提案した。