韓国市民の意識水準はそれほど低くなかった。親日論争はそれ以上広がることなく衰えた。文化交流が平和の基礎を整える道だという事実を理解しているからだろう。
前途はいまだ遠い。「竹やりを持とう」と言っていた1960年代生まれの元法相は除くとしても、80年代に生まれた若手の政治家すら「親日たたきで人気取り」に乗り出したのを見て絶望した。韓国与党の国会議員の立場からすると、検察破壊を改革と装うのは、むしろ理解できる。この37歳の議員は「独立運動がうるさいと親日はできない」と親日商売の隊列に合流した。
親日に関連付けたレッテル貼りはもうやめるべきときだ。新任の駐韓日本大使は韓国映画を好んで鑑賞し、シン・スンフンのコンサートに通う「親韓派」だという。親近感を覚えるが、大使は当然日本の国益のために仕事をするだろう。逆に韓国の駐日大使が、美空ひばりの歌を好んで歌う「親日派」であったら駄目なのだろうか。韓国の国益を貫徹しようとして日本の国民に親し気にアプローチする「親日」を行っては、絶対に駄目なのか。文化と企業は一流として疾走しているのに、政治はまだ四流にとどまっている。
韓国型日本人ガールズグループのおかげで、韓流に対する関心は一段と強まり、厳しい世論は一段と軟化した。パク・チニョンが、オーディションに参加した少女たちに韓国語と日本語を交えつつ行ったアドバイスは「魔法のような言葉」と評価され、大きな人気を集めた。日本のポータルサイトで「J. Y. Park 名言」を検索すると、どっと流れ出てくる。「才能が夢をかなえてくれるわけじゃない。過程が結果を作り、態度が成果を生むのだから」というような言葉だ。辛口なことで有名なタレントのマツコ・デラックスも態度を変えた。最近、自分の番組でパク・チニョンをインタビューし、高く評価した。こういうのが親日だというのなら、応援する。
李漢洙(イ・ハンス)世論読者部長