コロナ・ワクチンをめぐる事実関係はさほど複雑なものではない。韓国に住む韓国人が今接種を受けられるワクチンは存在しない。政府が確保したというワクチンはファイザー以外のものは臨床試験が終わっていない。ファイザーのワクチンも来年の第三四半期にごろにやってくる。国際機関を通じたワクチン確保の枠組み「COVAX」は早ければ来年3月までにワクチンの配布を開始する。「人口の20%に相当するワクチンを供給する」という目標が定められた時期は来年末だ。韓国政府はこれらをわかりにくくして自分たちが成功したかのように発表し、同時に与党議員らは伝道師のように「世界はK防疫を認めている」と叫び続けている。
コロナ・ワクチンについて取材を進めていると、人類が蓄積した知識に基づいてこの革新的なワクチンを開発したという事実をうれしく感じる。私は現代が科学と理性の世の中であることと、それ故にこのような時代に生きられて良かったと信じている。しかしワクチンという科学の結実でさえ敵作りの道具として使われる韓国社会、そのような分裂をあおる政権、そしてその盲目的な追従者たちが憎悪を吐き出す現実をみていると、時に挫折も感じる。「今は本当に21世紀なのか」と。
キム・シンヨン記者