韓国政府はWTOが韓国側に下した一部敗訴の判断を受け、上訴する方針だ。日本製ステンレス鋼の累積評価価格は韓国製よりも高く、産業に打撃となり得るが、WTOは累積評価に関する部分は紛争解決と直接関連がないとして判断を回避し、非累積評価で判断を下したからだ。
産業通商資源部関係者は「反ダンピング関税措置を維持できるが上訴するのは、累積評価の適法性について判断を回避しており、非累積評価による価格を問題にしたWTOの判断を放置すれば、悪しき前例になるとの判断からだ」と述べた。その上で、「現在上訴機関がまひしている状態なので、日本との協議を通じ、合理的な上訴手続きを踏む」と説明した。
韓国政府が日本とのWTOでの貿易紛争で一部でも敗訴したのは、これまで5件あった韓日間のWTO紛争で初めてだ。これを口実に日本が「韓国が不当な貿易制裁を行った」と政治的な攻勢をかける可能性も指摘されている。これに先立ち、日本は2002年に半導体相殺関税、05年にのりのクオータ紛争、昨年には福島県産水産物、空気圧バルブを巡る紛争で相次いで敗訴した。しかし、ステンレス鋼市場は小さく、これまでの紛争と比べると重みはないとする評価が有力だ。
韓国政府はステンレス鋼を生産する韓国メーカーの要請を受け、04年に日本製品に反ダンピング関税を適用後、4回にわたり再審査を行い、措置を延長してきた。日本は3回目の再審査結果がWTOの反ダンピング協定に違反するとして、18年に韓国を提訴した。ステンレス鋼は自動車部品などに主に使われ、韓国の国内市場規模は約50億ウォン(約4億7000万円)だ。