今、TKは加徳新空港問題から一歩引くのが賢明だ。現政権に釣られた泥沼の戦いを止めることができる道だ。そうしなければ、国策大事業を持ち出して選挙のたびにこんなふざけたことをする現政権の道徳的問題が、PK・TK対立にすり替えられてしまう。国策事業の選定手続きや規定を無視して予備妥当性調査も省略し、むやみに押し付ける政権与党の独裁的な動きにも、立ち向かうことができなくなる。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)候補はいずれも韓国東南部の新空港を公約に掲げたが、経済性不足で白紙になった。それにもかかわらず、次の大統領選候補らも全く同じ公約を掲げた。空港の立地を巡ってPK・TKの激突が頂点に達すると、朴槿恵(パク・クンへ)政権は世界最高の権威を持つ「パリ空港公団エンジニアリング(ADPi)」に委託を行い、慶尚道地方の各首長は結果に従うと約束した。圧倒的な点数で、金海空港の拡張という決定が出た。加徳島はびりだった。
しかも金海新空港は、釜・蔚・慶の中間くらいに位置する。釜山市内から30分もかからない。加徳島よりアクセス性が良く、距離も短い。経済性・安全性などの面で最高点が付けられた。台風や高潮、津波が押し寄せかねない加徳島は、航空機の離着陸には向かない弱点を持つ。深い海を埋め立てるので地盤沈下問題も生じる。だが釜山には、科学的判定の代わりに「金海新空港は安全ではない」という迷信が広がっている。
工期の側面からも、金海空港に滑走路を1本増やして施設を拡張する方が早い。深い海を埋め立てて空港鉄道や道路網を全て新たに引かねばならない加徳島新空港の費用は、金海の2倍を超える10兆2000億ウォン(現在のレートで約9490億円)と推定された。土木関係者らは、実際にはこれよりもずっと費用がかさむとみている。