しかし、韓国経済の真の問題は構造改革だ。構造改革が遅れ、低成長の韓国経済はさらに大きな打撃を受けている。160兆ウォン(15兆円)規模のニューディール戦略はデジタル経済力を世界レベルに向上させ、カーボンニュートラル経済と200万人に達する雇用創出があってこそ意味を持つ。
これはアジアの他国にも共通する現象だ。タイではコロナの逆風が国内総生産(GDP)の70%を占める輸出と観光を破壊している。タイ中央銀行が景気浮揚のために日本式の資産買い取りを検討しているが、根本的問題の解決には程遠い。タイの宿題は官僚主義を抑え、腐敗を減らし、企業の活路を開き、景気を浮揚させるために基礎教育訓練への投資を増やすことだ。マレーシアでは元経済官僚がデフレ防止のため、財政支出と構造改革を求めている。シンガポールは最近、輸出低迷で物価上昇率が0.5%前後にとどまっている。シンガポールはもう一度経済の動力源を多様化すべき時期を迎えている。ベンチャーキャピタルネットワークを構築し、規制を緩和すべきだ。
仮に世界12位の経済大国である韓国でデフレが起きれば、それは東アジア経済に影を落とすことになる。韓国は今年5月、消費者物価が前年同月比で0.3%下落し、そうした兆候が表れた。当時李柱烈韓銀総裁は「(コロナが)世界経済全体に前例のない衝撃を与え、物価に相当な下振れ圧力を加えた」と評した。文在寅政権がコロナ第1波のように、第2波をしっかり管理しても経済はまだ危うい。過去数年間、韓国は世界経済の成長におる恩恵をかなり受けた。しかし、2021年にそうした期待をすることは難しい。世界経済の見通しが暗いからだ。米国はコロナ非常事態を脱することができずにおり、日本と欧州も同様だ。中国はそれでも安定した雰囲気だが、輸入を増やせずにいる。これは文在寅政権にとって重荷だ。雇用を創出し、勤労者の賃金を守り、企業と家計の信頼を得るためにもっと努力が求められる。