同じ国民を同志と敵に分け、批判勢力に「照準」を合わせるのは文在寅(ムン・ジェイン)政権の人々も得意だ。文大統領が国会で「協治」を強調した日、野党院内代表は青瓦台警護室職員のボディーチェックを受けた。前の大統領は懲役22年を、前の前の大統領は17年を言い渡され、投獄された。梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長時代の大法院を狙った裁判は先週で公判が100回を超えた。どの革命の敵になったというのか。法務部長官は自分自身を批判した検事に言及し、「上等です。そうやってカミングアウトしてくだされば、改革だけが答えです」と報復を示唆した。長官の「照準合わせ」に同僚検事300人が反発するや、与党院内代表は「特権検事たち」と敵側に分けた。ひとたび照準が合えば、極端な大統領支持者というミツバチ集団の攻撃を受けなければならない。 「尹美香(ユン・ミヒャン=現・共に民主党議員、元・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯〈正義連〉理事長)の不正」を暴露した慰安婦被害者さえ「認知症の年寄り」にされた。こうした言動を大統領は「ヤンニョム(合わせ調味料・スパイス)」、与党代表は「党のエネルギー」と擁護した。
中国の人々が大躍進運動より文革の方を恐れるのは、国民を二分し、平凡な人々の胸も傷付けたからだ。毛沢東が理想主義にはまって台無しにした経済は鄧小平が改革・開放によりよみがえらせた。だが、紅衛兵がうごめき、引き裂かれた国民の心は半世紀過ぎても縫合されていない。この政権が犯した最大の過ちも「国民分裂」として記録されることだろう。
アン・ヨンヒョン論説委員