【コラム】兵力6万人にすぎない豪州が国防費に220兆ウォン投じる理由

中国を潜在的な敵国と見なし兵力増強
米国、日本、インドなどとの協力を強化

 オーストラリア軍の戦力増強計画を詳しく見ると、北朝鮮と対峙(たいじ)している韓国でさえ驚くほどだ。陸海空軍だけでなく、宇宙やサイバー分野にまで防衛用はもちろん、長距離攻撃用兵器も網羅されている。今後10年間に45兆5000億ウォン(約4兆1000億円)が投入される陸軍の戦力増強計画には、韓国のK9自走砲と装甲車「ランドバック」を含む新型歩兵戦闘装甲車事業と自走砲事業、米国の主力戦車M1エイブラムスの改良計画などが含まれている。

 海軍には62兆1000億ウォン(約5兆6000億円)が投入される。12隻の新型攻撃用潜水艦をはじめとして、キャンベラ級強襲上陸艦(軽空母)2隻、ホバート級イージス艦などが導入されたかあるいは導入される予定だ。空軍も53兆8000億ウォン(約4兆9000億円)を投入し、F35Aステルス戦闘機72機、無人偵察機スカイ・ガーディアン、電子戦機などが導入される。オーストラリアが導入を進めているF35の数は、韓国空軍が来年までに導入する40機よりも32機も多い。

 直接の軍事的脅威がないオーストラリアがなぜこれほどの巨額を投入して戦力増強に力を入れているのだろうか。オーストラリア版国防白書「2020年国防戦力アップデート」にその答えが記されている。同書には中国を事実上の潜在敵国と見なす表現がある。オーストラリアのモリソン首相は「オーストラリアは第2次世界大戦以降、見ることもできなかった地域における挑戦に直面している」と述べ、中国の浮上に対応するため積極的な防衛戦略を採択する考えを表明した。中国が南シナ海に人工島を造成したことなどがオーストラリアを刺激したというのだ。

 しかし中国に対するオーストラリアの正面からの対応は構造的に難しい側面がある。中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国であり、オーストラリアの輸入工業製品の25%が中国製となっているからだ。中国は自国と距離のある米国と親密な協力を進めるオーストラリアを懐柔するため、執拗(しつよう)に有形・無形の圧力を加えてきたが、オーストラリアはこれに屈しなかった。

■「世界の軍事力ランキング」韓国6位、北朝鮮25位、日本は?

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