「手抜かりがない村上春樹、翻訳家にとっては最もラッキーな作家」

春樹ブームの発端『世界の終りと…』、28年ぶりに再び翻訳したキム・ナンジュ

 小説は、一角獣が暮らす美しい村「世界の終り」と、暗号と解読を巡って計算士と記号士が対決を繰り広げる「ハードボイルド・ワンダーランド」、二つの平行世界を行き来しつつ進行する。キム・ナンジュは「駆け出しの人間が翻訳するには大作で、情熱とエネルギーにはあふれていたけど、作品の中でじたばたあがくしかなかった」としつつ「今では作品全体を見渡しながら指揮できるようになったみたい」と語った。「再び翻訳してみると、人間の日常が消えた『世界の終り』で人々の痕跡をたどる様子が、すごく美しくも悲しいですね」

 キム・ナンジュは、村上春樹を「翻訳家の立場からは『ラッキー(Lucky)な』作家」と表現する。「村上春樹は、いい日本語を使い、パズルを漏れなく組み合わせた状態で作品を出すんです。翻訳家が補充し、満たす必要がないんですよ。吉本ばななはすごくきれいな文章を書くけど、行間が広くて、パズルの欠けている部分を埋め難いときがあるんです」

 数多くの作家を翻訳したが、吉本ばななの作品が最も多い。二人は韓国と日本を行き来するたびに会う友人同士でもある。「一度は、ばななが(歌手の)イ・スンギのファンだというので、コンサート一緒に見に行ったんです。戻る道が分からないのではと思って、私がお手洗いの前で待っていたら、感動したのか、本人のエッセーにも書いてましたね」

■「世界で最も住みやすい国」2020年版発表、韓国17位、日本は?

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