半導体・ディスプレーに続き…「メード・イン・ジャパン」旅客機も失敗

日本の「日の丸連合」…政府主導企業、没落の教訓

 エルピーダが破産した12年にはソニー、東芝、日立の液晶ディスプレー(LCD)事業部を統合し、ジャパンディスプレイ(JDI)が設立された。半導体と同様、LCD事業でも韓国に押されたことから、政府主導で各社のLCD事業を束ねて勝負する狙いだった。しかし、数千億円を新規投資しても韓国には追い付けず、結局はアップルとの納品条件で失敗し、赤字が膨らんだ。経営難の末、JDIはLCD事業を大幅に縮小し、今年には主力工場まで売却した。

■1964年東京五輪の栄光再現を目指した安倍の夢消える

 スペースジェット事業は日本人に1964年東京五輪の栄光を思い起こさせる。日本は1962年に最初の国産プロペラ旅客機YS-11の初飛行に成功した。当時は官民出資の日本航空機製造が開発を担当した。YS-11は64年に東京五輪の聖火輸送に使用され、同年に開通した世界初の高速鉄道、新幹線と共に日本国民にとって戦後復興の象徴だった。YS-11はその後、ジェット旅客機に押され、73年に生産が中断され、2006年に運航を終了した。

 スペースジェットはどれだけ遅れても東京五輪が開催される今年までに引き渡しが始まる予定だった。五輪が予定通り開催されていれば、64年に続き、再び聖火輸送に国産旅客機が使用される可能性もあった。64年当時小学校4年生で東京五輪を経験した記憶を最高の思い出と語る安倍首相が再び日本復興の栄光を世界に知らしめる最適の材料になるはずだった。

 ところが綿密な分析が欠けたままで始まった政府主導のプロジェクトは大切な税金と企業のリソースを浪費したまま、災いとなって終わる可能性が高いという分析が示されている。政府が税金をつぎ込み、競争力で劣る事業を統合させたところで、民間のリーダーシップが支えなければ、良い結果は期待できないとの意見もある。2017年に三菱重工業の宮永俊一社長(現会長)は「開発に入る前に情報収集とリスク分析についてもっと学ぶべきだった」と後悔した。

崔元碩(チェ・ウォンソク)国際経済専門記者

【写真】 日本政府が主導するプロジェクト 3回の失敗

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