計画に支障が生じ、赤字も雪だるま式に膨らんでいる。三菱航空機の親会社、三菱重工業の業績報告書によれば、スペースジェット事業の赤字は18年の852億円から昨年は2633億円に拡大した。今年は要員、費用を大幅に削減し、赤字を圧縮する計画だったが、それでも1300億円の赤字を見込んでいる。最近3年間の赤字だけで4785億円に達する。スペースジェットの業績不振で三菱重工業も昨年、20年ぶりの赤字に転落した。
採算性に対する懐疑的な見方はこれまでもかなりあった。民間航空機市場は長距離国際線を中心とする中型・大型機(130席以上)と相対的に短距離を飛ぶ小型機(130席未満)に分かれるが、スペースジェットは小型機の中でも座席が100席以下の「リージョナルジェット」に属する。リージョナルジェット市場は民間航空機市場の5%にすぎない。それでも日本は小型旅客機を足掛かりに航空機市場全体を育てることを目指し、市場への新規参入を試みた。
その上、リージョナルジェット市場の80%を掌握するカナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエルをそれぞれエアバスとボーイングが買収し、市場に牙城を築いた。中国までリージョナルジェットと中型旅客機を開発し、自国中心の普及に乗り出し、スペースジェットの立つ瀬はますます狭まった。
■半導体・LCD連合に続く3度目の失敗に終わるのか
日本政府主導でつくった企業連合を意味する「日の丸連合」の危機は今回が初めてではない。20年間に3回の失敗があった。日本は1999年にNEC、日立製作所のDRAM事業を統合し、エルピーダメモリを設立した。当時半導体市場を掌握しつつあった韓国を打倒し、1980-90年代の半導体産業の栄光を取り戻す狙いだった。2003年には三菱電機のDRAM事業を吸収し、企業規模を拡大したが、時間がたつにつれ敗色が濃厚となった。日本政府は09年、エルピーダに公的資金300億円を投入して支援を行ったが、結局エルピーダは12年に破産を申請。13年に米マイクロンに吸収されて消滅した。