在日僑胞2世で幼いころを軍艦島で過ごした鈴木文雄さんの証言が代表的だ。鈴木さんの発言は「端島炭鉱で働いていた伍長の父を誇らしく思う」との内容だ。そのパネルには鈴木さんが「いじめにあったことがあるか」「むちで打たれたことがあるか」との質問に対し、「いじめにあったことはなく、むしろかわいがられた」「むちで打つことなんてあり得るのか」と答えたとの記述がある。「当時朝鮮人と日本人は同じ日本なので差別はなかった。虐待もなかった」という日本人の証言もスクリーンから流れた。産業遺産国民会議の役員でもある加藤康子センター長は取材陣に対し、「当時の炭鉱労働者の中には虐待を受けた人はいない」と述べた。このほか、軍艦島などで生活した10人余りのインタビュー映像で過去を美化した。
韓国人に給与を正確に支払ったことを強調する当時の給与袋も展示されていた。また、1940年代の徴用令だけでなく、韓日請求権協定の全文も展示している。産業遺産情報センターの展示は、当時多くの韓国人が差別待遇を受け、つらい労働に苦しんだ事実とは反するもので、日本に有利な証言ばかりを批判しているとの批判を受けている、日本は日帝時代末期に軍艦島のほか、長崎造船所、八幡製鉄所などに4万人の韓国人を強制動員した。
こうした歴史があることから、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は日本が2013年に軍艦島を含む「明治日本の産業革命遺産」をユネスコの世界文化遺産への登録を申請したことに反対した。安倍内閣が徴用被害者の暗い歴史に目を向けていないからだった。安倍内閣は朴槿恵政権が問題提起を行い、ユネスコでの賛否対決も辞さないとする立場を示したことで低姿勢に転じた。韓国人の強制労働を認め、そうした内容を含む情報センターの設置を約束した。1940年代に韓国人が本人の意思に反して日本の土を踏み、過酷な環境での労働を強要されたことについて、理解することができるような措置を講じると約束したものだった。