国立競技場4階相当部分の観覧席に入ると、既に人がいっぱいいるような印象を受けた。6万席あるスタジアムに5色(茶・深緑・黄緑・黄・白)のいすをモザイクのように配置した効果だ。特に陸上トラックと近い1階部分周辺には茶色を、上に行くほど白を多く配置して、木漏れ日のような印象を与えている。JSC関係者は「観客がいない練習時間でも選手たちが満員の時の興奮を感じられる」と説明した。視界も広い。地下2階に相当する陸上トラックを4階部分から見たが、ゴールラインが手に届くように感じられた。1層スタンド(1階)が20度、2層スタンド(2階・3階)が29度、3層スタンド(4階)が34度というように、層が上がるにつれて角度が急になっているためで、すり鉢の形から設計のアイデアを得たという。
JSC新国立競技場設置本部の高橋武男総括役は「スタジアムの隅々までディテールに集中した点では世界最高水準だ」と語った。
東京の夏は「サウナ猛暑」と悪名高い。このスタジアムは屋根がなく、エアコンをつけることができない。JSC側は「スタンドの外の通路にミスト(噴霧器)を2メートル間隔で設置し、気流を作り出すファン(送風機)185台を設置しているので夏でも暑くない」と主張した。しかし、具体的な気温の変化予想は提示していない。当初、東京で大会最終日に行われる予定だった男子マラソンは猛暑のため早朝に開催するとしていたが、最終的には東京ほど暑くない北海道で行われることになった。