木材は天井・柱・外壁など国立競技場の目につく至る所にあった。国立競技場を管理・運営する日本スポーツ振興センター(JSC)の関係者は、沖縄から福島、北海道まで日本各地のスギ・イブキ・マツをすべて集めて造ったと説明した。木材になった森の面積はなんと2000平方メートルだ。国立競技場を設計した日本人建築家の隈研吾氏は「1400年以上の歴史を誇る日本最古の木造建築物・法隆寺のように、木材は日本の伝統を象徴し、周囲の景観と調和を成す最高の素材だ」と言う。
■聖火点火はどこで?
全世界のメディアにお披露目されたメインスタジアムにはあるべきもの二つがなかった。まず、聖火台がスタジアムにいない。これまでの夏季五輪は聖火台をすべてスタジアム内に設置していた。しかし、今回は建築家が考慮しておらず、日本の消防法も木造建築物の中に火気設備を設置することを禁じている。このため、聖火の点火方式も推測が難しくなった。スタジアムには屋根もない。その代わり、天井に長さ60メートルの木の板をピアノの鍵盤のように広げて囲んでいる。板の間の空間で通気性や日照量を調節する。梁や配管も板の間から出ている。JSC関係者は「露出型設計なので修理する個所を探しやすく、管理費節約に役立つ」と説明した。国立競技場は当初、イラク出身の女性建築家ザハ・ハディド氏=故人=の設計案が採用されたが、高額の工事費(約2520億円)が問題となり、2015年末に隈研吾氏の設計案(工事費約1569億円)に変更され、3年で建てられた。屋根がなく雨風が吹き込めば施設利用が難しく、木材が変質する恐れがあり、今後の維持費がかなりかかるだろうとの批判もある。