■英国のフーリガン顔負けの荒い観衆
北朝鮮の男子代表がホームの競技場で最後に負けたのは、2005年3月に行われた06年W杯ドイツ大会アジア最終予選のイラン戦(0-2)だった。当時、審判の判定に不満を抱いた観衆は、競技場の椅子やペットボトルを投げ、一部はピッチやイラン選手の控室にまで乱入するという騒動を繰り広げた。北朝鮮サッカー協会はこの事件で1600万ウォンの罰金を科された上、予選での日本戦を第三国で無観客試合で行うという制裁を受けた。脱北者のAさんは「北朝鮮は韓国のように野球・バスケットボール・バレーボールなどのプロリーグが全く発展していないため、サッカーの試合に命を懸けている」として「平壌チームが咸鏡南道の咸興に遠征して荒いプレーをすれば、観客席からこぶし大の石が飛んでくるのはよくあること」と話した。
2017年4月の金日成競技場でアジア・サッカー連盟(AFC)の女子アジア・カップ予選の試合を行った選手たちも、観衆の圧倒的な応援に驚いた。池笑然(チ・ソヨン、28)=チェルシーLFC=は「応援の熱気があまりにすごく、ひょっとして家に帰れないのではないかと思った」と話した。キム・ジョンミ=現代製鉄=は「試合開始を前に、私たちが『頑張ろう』と叫ぶと、それを聞いた北朝鮮の選手たちが『殺してやろう』と対抗してきた」として「競技場の圧倒的応援はむしろ北朝鮮選手にとって重荷として作用する可能性もあるため、気持ちで押されてはいけない」とアドバイスを送った。