ところが、捕まった容疑者は左派団体幹部のユ氏だった。警察はユ氏を逮捕した後、ユ氏の住居を家宅捜索し、共犯がいるかどうかなどについて調べを進めている。
ユ容疑者が現在所属している大進連は、昨年11月に「花の波・大学生実践団」という傘下団体をつくり、金正恩委員長ソウル訪問歓迎行事を主導していた親北朝鮮団体だ。2018年3月に韓国大学生連合など、学生運動圏の団体が連合してつくられた。最近では反日運動に積極的だ。ユ氏が逮捕された29日の午後も、大進連や青年党などはソウル市鍾路区の旧日本大使館前で、自由韓国党議員、日本の旭日旗と安倍首相が描かれた横断幕を燃やすパフォーマンスを行った。今月25日には、ソウル市麻浦区上岩洞のMBC放送社屋内にあるフジテレビ韓国支社のオフィスで奇襲デモを繰り広げた。ユ氏は韓国大学総学生会連合(韓総連)議長出身で、これまでに利敵表現物を配布した容疑など(国家保安法違反)で少なくとも2度起訴され、有罪判決を受けたといわれている。
被害者の尹・院内代表は容疑者逮捕の直後、あるメディアとの電話インタビューで、容疑者が大進連幹部だというニュースを聞き「本当なのか。確実なのか」と繰り返し尋ねたという。また「(犯人は)極右団体じゃないかと思った」とも言っていたと伝えられている。
大進連は29日、フェイスブックに文章を載せ、「公安勢力の詐欺捏造(ねつぞう)劇」と主張した。「自由韓国党をえぐりだすため先頭に立っている大進連が、積弊清算で共に進む正義党院内代表を脅迫したというのが話になるか」「徹底した捏造事件であって、進歩改革勢力に対する分裂の試み」だとした。
だが警察の最高位クラスの関係者は、「捜査が誤っていた可能性」についての本紙の質問に対し「われわれ警察はそこまでお粗末ではない」と答えた。