韓国の力は現在われわれ自らが実感している。米中間に挟まって呼吸すらできないような状況だ。日本は最も早く米国の側に付いた。しかし、中国は韓国には脅しを掛けながらも、日本には何も要求していない。日本のGDPにおける対中輸出は3%にすぎない。貿易関係が崩れれば、苦しむのは中国の側だ。韓国のGDPにおける対中輸出は10%を占めている。貿易関係が消滅すれば、中国よりも韓国の方が痛手を負う。これが韓国の国力なのだ。韓国の周りには、強大国だけがひしめいている。われわれは強大国に影響を及ぼすことができる国ではなく、強大国の影響を受ける国なのだ。強大国の動向を真っ先に把握して、これに対応し、国家戦略の方向性を決定しなければならない。この基本的考えから脱するならば、どんなに輝かしいネーミングを施したとしても、妄想や見え、あるいは国内向けのショーにすぎないのだ。
数日前、深夜遅くに1本の電話があった。大統領府で首席を経験した人物からだった。「康京和(カン・ギョンファ)外交長官がハンガリーに行って何になるのか。これでは大使館、そして大使の存在理由がなくなってしまうではないか。そもそも救助や捜索を外交長官が引き受けるべきなのか。今韓国の外交長官が国家のためにするべきことは本当にこれなのか」。彼の声は震えていた。あるいは外交長官が遊覧船事故の捜査に乗り出すこともあり得るだろう。しかし、外交長官がするべきことをやっているといった話は聞いたためしがないようだ。国家戦略家ではなく、もっぱら「人形」と呼ばれているという。海外訪問が多い大統領夫妻は「観光地はもれなく訪問している」とのうわさを耳にする。大統領は、ナイトクラブ事件の捜査についても指示を出しているという。外交や安保に対する案件は滞っているというのにだ。どこに引っ掛かって止まるのか、そこで韓国はどんな目に遭うのか、予想できる人間などこの世に存在しないのだ。
楊相勲(ヤン・サンフン)主筆