【コラム】文学が韓日外交に与える忠告

 茨木のり子のハングルに対する愛に思いをはせているうちに、別の日本人女性詩人を思い出した。ソウルで韓国語を学び、1993年にハングルで詩集を出した詩人・斉藤真理子(59)だ。斎藤真理子は現在、日本で韓国文学翻訳家として活動している。彼女が出したハングルの詩集は絶版になったが、昨年の『たったひとひらの雪』という新しい題名でよみがえった。彼女は韓国語の「ヌンソンイ」(ヌン=雪、ソンイ=ひとまとまり、合わせて雪のひとひらの意)という言葉がとても美しいと思い、『ヌンボラ(吹雪)』という詩を書いたそうだ。「ほかのすべてのヌンソンイととても似ているたったひとひらの雪」と歌った彼女は、「日本語にはヌンソンイに該当する固有語がない。『ソンイ』の『ン』(ng音)が好きで、ヌンではなくヌンソンイの一つ一つの存在感、その一つ一つすべてが好きだった」と語った。韓国語の「スムギョル」(息づかい・息吹)という言葉もとても好きで、いつかその言葉で詩を書きたいそうだ。

 茨木のり子の詩『わたしが一番きれいだったとき』は小説家コ・ソンオクの短編作品の題名に、斎藤真理子の詩『ヌンボラ』の中の言葉は小説家ウン・ヒギョンの短編作品の題名になった。韓日間の文学ではこのように穏やかな交流が行われてきた。最近の外交的な韓日関係は最悪だと言われるが、文学の交流はこれまで以上に活発だ。文学が重要な緩衝地帯の役割をしているとすら感じる。日本の小説が韓国のベストセラーの上位を占めるのは昨日、今日のことではない。韓日の出版に関しては不均衡が指摘されることもあったが、韓国の読者にとっては選択の幅が広がり、日本文学の多様性が韓国文学に新鮮な刺激を与えている。だが最近は新たな状況も生まれ始めている。韓国人作家チョ・ナムジュのフェミニズム小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が昨年12月に日本で出版されて以降、これまで14万部以上売れるほど大きな反響を呼んでいる。おかげで韓国文学の翻訳も増えた。

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  • ▲朴海鉉(パク・ヘション)文学専門記者
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