一審で、日本は膨大なデータを根拠にして、「水産物におけるセシウムなどの放射性物質は安全基準を上回る数値で検出されたことがない」と主張した。韓国は「水産物だけでなく、海洋や土壌など、我々がまだ知らない、いかなる被害が発生するか分からない」と対抗した。
一審は日本が勝った。WTOは日本産水産物の放射能検査数値が他国とほぼ同じなのにもかかわらず、日本産水産物のみ輸入を禁止するのは「恣意(しい)的差別」だと判断した。だが、上級委員会は韓国の勝訴とした。韓国産業通商資源部(省に相当)のキム・スンホ新通商秩序戦略室長は「一審では放射能の数値だけで判断したが、二審では『食品汚染に影響を与え得る日本の特別な環境的状況なども考慮しなければならない』と判断した」と語った。
■日本の水産物輸出戦略に支障
西江大学のホ・ユン教授は「日本政府は科学的に水産物の安全性を十分に立証していたので、今回の判定は意外だ」と言いながらも、「主権国家の食品衛生に対する裁量権を幅広く認めたものとだと見られる」と分析した。ただし、「今回の判定で日本産水産物の輸入が引き続き禁止されることで、韓日関係の行き詰まりが長引く恐れがある」との見方を示した。
日本経済新聞は「WTO一転『玉虫色』判決」と報道した。玉虫のはねの色が光の具合によって変化するように、見方によって解釈が変わるということだ。日本が出した科学的データに反論はしていないが、法理を見極めて韓国側の手を挙げたということだ。