韓国最大の経済学術大会で猛批判にさらされた文政権の経済政策

 政府・与党は所得主導成長による効果の証拠として、昨年の民間消費が2.8%伸びた点を挙げているが、学識者は「錯視」だと指摘する。イ教授らの研究でも民間消費は1.14ポイント伸びていた。しかし、イ教授らは「国内消費が伸びたとは言えない」と断じた。輸入消費財を除けば、民間消費の成長率の伸びは0.46ポイントにすぎない。純粋な国内消費と言えるサービス分野の消費は減少したからだ。飲食・宿泊(-3.63ポイント)、芸術・スポーツ(-0.99ポイント)、教育・サービス(-0.96ポイント)などサービス業の大半で成長率が低下した。イ教授は「所得主導成長では国民の消費が再び国民の懐に戻ってくることが重要だ。民間消費の伸びはサービスなど国内消費の伸びによるものではないと推定され、内需増進効果はないと判断される」と指摘した。

 また、所得主導成長が所得分配にもプラスの影響を与えていないとも分析した。雇用の伸びが臨時職労働者(-4.03ポイント)、日雇い労働者(-4.32ポイント)で大きく減少したからだ。昨年には最低賃金が16.4%も上昇したが、消費増につながらなかったのは、労働時間も同時に減少したためとみられる。イ教授は「最低賃金が増えても、労働時間が減少し、結局は所得減少につながるという懸念について検討が求められる」と述べた。

 長期の成長見通しも明るくない。チェ教授は「設備投資の急激な減少、雇用減少、総要素生産性減少などで潜在成長率の阻害が懸念される」とした上で、「それでも所得主導成長が(政府の政策として)採択されたのは、政治家にとって、成長と分配を同時に追求するという『甘いアメ』のような存在だからだ」と指摘した。

シン・スジ記者
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