韓国経済の低成長は、2000年代以降に構造改革と体質改善に失敗したことが積み重なった結果だ。歴代政権はいずれも政治の論理にとらわれ、限界産業の構造調整をおろそかにし、新産業育成のための産業戦略樹立を怠った。2世、3世体制へと移っていく大企業は起業家精神を失っていくのに、これを代替し得る新たな産業動力を掘り出すことができなかった。
その上、所得主導という現政権の「偽りの」成長政策が低成長を一段と強めている。市場を活性化して企業の活力を育むのではなく、税金をばらまくことで全てを解決しようとする逆コース政策へと走り出した。最低賃金を急激に引き上げて庶民経済を冷え込ませ、反企業ドライブで産業競争力を落とすという自害行為をためらわなかった。規制の革新は言葉だけで、労働改革はあべこべな形で押し付けた。現政権になって設備投資がマイナスに転じ、成長率が落ちたのは、明白な政策失敗の結果だ。
にもかかわらず、政府は「経済は堅調な流れを維持している」と、相変わらずのんきなことを言っている。与党では「所得主導成長をもっと強力に推し進めたい」と言う。政府や自治体は、競って税金ばらまきのポピュリズムで韓国国民を中毒にしており、強硬で貴族的な労組は、腕章をはめた既得権勢力にでもなったかのように企業を締め上げている。グローバルコンサルティング企業「マッケンジー」の研究所長は、何日か前、韓国経済を「ゆでガエル」になぞらえ「鍋の温度は5年前よりも上がった」と評した。成長動力は消えつつあるのに、政府の誰も、真に成長のことを考えてはいない。