「痴漢えん罪恐怖症」 満員電車で手のやり所に悩む韓国の男性たち

 今月6日、大統領府公式サイトの請願掲示板に「混雑した飲食店で、夫が痴漢呼ばわりされて訴えられ、懲役6月を言い渡された」という投稿があった。「被害者の陳述に一貫性があれば、細かい事実関係が違っていても排斥してはならない」というのが裁判所の見解だ。ソウル弁護士協会のホ・ユン弁護士は「被害者の陳述以外に証拠がない事件の場合、警察や検察が事件の方向性を決めることもある」と話す。この投稿はインターネット上で大きな話題になり、大統領府請願掲示板で二日間に20万人を上回る同意を得た。一部の男性たちが8日、無実の犠牲者の量産を防ぐことを趣旨とするインターネット掲示板を作り、12日には会員数が1000人を超えた。中には「地下鉄に乗ったら、手をひざの上に乗せてよく見えるようにする」「盗撮犯にされてしまう可能性があるので携帯電話は出さない」などの行動要領を共有する男性たちもいる。こうした現象は性犯罪増加が生み出した韓国社会の新たな一面だ。ソウル地下鉄で警察が摘発した性犯罪は昨年、合計1094件だった。これは、2015年の779件、16年の791件に比べて30%近い増加だ。警察が集中取り締まりを実施し、これまで訴えるのをためらっていた女性被害者たちが自らの声を上げたのも増加の一因だ。

 大多数が有罪判決を受けるが、一部の男性は警察によって性犯罪犯として逮捕されても、その後の裁判の過程で無罪となるケースもある。パクさん(46)は昨年8月、ソウル地下鉄1号線の中で警察に逮捕された。被害者キムさん(32)は法廷で「痴漢だとは思わない」とパクさんの味方をした。キムさんは「警察の方から動画を見せてくるまで、密着されていたことに気づかなかった。警察から『この男は複数の前科があり、処罰を受けなければならない』と言ってきた」と証言した。ところが、裁判所が確認した記録によると、パクさんには性犯罪の前科がなかった。

ウォン・ウシク記者
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