韓国大統領府が14日、韓国内で取材中の米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に所属する記者に「報道支援をするのは難しい。外信記者らが加入している『大統領府団体カトクパン』から出てほしい」と言った。大統領府職員や外国人記者など約140人が参加しているこの「カトクパン」は、大統領府の記者会見や告知、取材関連の質問・回答などがやり取りされる、メッセンジャー・アプリケーション「カカオトーク」のグループチャットルームだ。
大統領府海外メディア秘書官室は同日、「外信記者登録基準を満たしていない記者がいるようだ」として、VOA側にこうした見解を伝えた。これについてVOA関係者は「大統領府は『VOA韓国語サービスは韓国語で記事を送るため、我々が所管するメディアではない。(カトクパンから)出ていかなければならない』と言った」と明らかにした。
大統領府は現在、ソウルで活動中のVOA記者3人のうち、韓国系記者1人を名指ししているという。大統領府関係者は「(その記者は)外信記者登録運用規則上の支援対象である『ソウルに支局を置く常駐特派員』などに当たらず、『不特定多数』が使う共用電話でカトクパンに加入しているようだ」と述べた。
これに対してVOA側は、「その記者は韓国語が堪能でラジオやインターネットのニュースを取材・報道している。ローテーション勤務が多い特性上、多くの人が使用したかのように見えるだけで、1台の正当な『業務用携帯電話』を使用している」と反論した。
大統領府周辺では「VOAは最近、北朝鮮産石炭の韓国密輸入疑惑や、『板門店宣言誤訳騒動』など、現政権にとって芳しくない報道をしたことが影響しているのではないか」という声も聞こえてくる。これについて、大統領府関係者は「特定の報道や特定の記者を問題視しているというのは事実でない」と否定した。米ワシントンD.C.にあるVOA本社は同日、大統領府からの異議に関して報告を受け、経緯の把握に乗り出したところだという。大統領府に団体カトクパンから出て行けと言われた記者は、韓国と米国を行き来して3カ月単位でローテーション勤務をしている取材記者だ。大統領府は、英語ニュースを担当する米国人記者と、映像取材を主に担当する韓国系記者は問題視していないという。VOA側では「(大統領府が問題視している)取材記者の前任者が『石炭疑惑』を積極的に報道したのが影響しているのではないか」と言っている。