ソウル市は当初タルンイのヘルメットにタグを付け、位置追跡と身元確認が可能な貸し出し、返却システムを構築することを検討した。しかし1年の通信費だけで12億ウォン(約1億2000万円)もかかり、別途の装置を構築せずに運営することにした。市民意識を信じようといった試みだった。しかし、ヘルメットの紛失率が高まったことで、無料貸し出し事業の廃止を検討している。現在のように1日で半数程度の回収率では、10日も持たずに試験サービスは打ち切らなければならない。市は、施行3日目の22日から、貸出所の保管ボックスのヘルメットの数を減らすよう指示した。ソウル全域にわたるヘルメットの回収も1週間に1回から3回に増やすことにした。事業施行の前日の19日には、ヘルメットが全て盗難に遭った所もあった。同日午前に汝矣ナル駅のタルンイ貸出所の保管ボックスに入れてあった64個のヘルメットのうち、30個が市の職員たちが席を外していた数時間の間になくなってしまった。
タルンイのヘルメットのような共有経済が失敗に追い込まれたケースは、何も今回が初めてではない。書籍、傘、常備薬など共に使用しようとして始めたサービスが、一部の市民のために廃止されたケースは多い。大田市は、2014年に自転車のヘルメット150個をエキスポ市民広場と貿易展示館などにある貸出所に配置したものの、2カ月未満の間に90%がなくなった。ソウル京義・中央線は、2016年1月から地下鉄歴史図書館「読書パラム列車」を運行したものの、7カ月の間に書籍500冊のうち80冊が失われた。ソウル交通公社も2011年に良心図書館13カ所に書籍約1300冊を置いたものの、このうち9カ所の回収率が3%台にとどまり、2年で運営中止に追い込まれた。