こうした状況が1年近く続いているにもかかわらず、警察は違法検問活動を事実上放置している。警察関係者は「違法デモには断固として対処したい」としつつ「市民をできるだけ刺激しないのが原則」と語った。
THAAD基地近くに配備される警察は大幅に減った。昨年9月の時点では4個中隊およそ300人いたが、3月現在は1個中隊およそ80人が、基地から4キロ離れた場所で待機している。
■工事が進まずTHAADの運用に制限
在韓米軍は事実上、野戦レベルでTHAADの装備を運用している。電気施設が備わっておらず、ヘリで燃料を空輸して野外発電機を回し、THAADに必要な電力を賄っている。米軍将兵は、道路での出入りが制限されると、ヘリに乗って部隊に出入りしている。弾道弾迎撃用のミサイルが発射されるランチャーなどの装備を載せるパッドの補強や、基地内部の道路の舗装もできていない。全てTHAADの正常な運用に欠かせない工事だ。
韓国軍の関係は「米軍側が公表を渋っているが、THAADの運用には制限があると推定される」と語った。工事の停滞で、今年2月に予定されていたTHAADの敷地(70万平方メートル)に対する一般環境影響評価も始まっていない。韓国政府は、評価結果に基づいてTHAADを配備するかどうか最終決定したいと表明してきた。
■「中朝の顔色をうかがってTHAAD問題を放置」
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年5月に政権を取った直後、「THAADランチャー4基搬入の報告漏れ」を理由に配備手続きを中断させた。そうして7月28日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の火星14型を発射すると、その翌日に対応策として文大統領は「THAADランチャー4基を臨時配備したい」と表明した。これでTHAAD配備問題は一段落したかのようだった。