■金融危機で本格化した通貨スワップ
2008年の世界的な通貨危機は、世界の主要国が通貨スワップ協定を通じた外貨のセーフティーネットを構築する契機となった。米連邦準備理事会(FRB)は07-08年の金融危機を受け、欧州連合(EU)、スイス、韓国など14カ国の中央銀行と二国間の通貨スワップ協定を結んだ。規模は総額5800億ドルで、世界の金融市場によるクレジットクランチ(信用収縮)を防ぐための巨大なセーフティーネットが形成された。これについて、フランスのシンクタンク、国際経済予測研究センター(CEPII)は「FRBが通貨スワップを通じ、全世界の最終貸出機関の役割を担うことになった。通貨と金融市場の不安定性をコントロールする手段として、通貨スワップが登場した」と分析した。
金融危機後、各国の中央銀行は通貨スワップ協定を拡大している。米国、ユーロ圏、英国、日本、スイス、カナダなど6カ国・地域の中央銀行は13年、常時有効の多国間通貨スワップ協定を結んだ。自国でドルが不足した場合、他国の中央銀行から3年間の短期融資を受ける内容だ。日本は中国に対抗し、東南アジアへの影響力を拡大する手段として、通貨スワップを活用している。シンガポールに続き、昨年にはタイ(30億ドル)、フィリピン(120億ドル)との通貨スワップを結んだ。中国も人民元の国際化に向け、通貨スワップを積極的に利用している。中国は韓国など32カ国と3兆元を超える通貨スワップ協定を結んでいる。
通貨スワップは一国の信用格付けを向上させる要因にもなる。外国人の投機資本による攻撃で、外貨が引き潮のように流出しても、外国から流動性を確保し、防衛することができるからだ。また、通貨スワップ協定を結ぶということは、互いを簡単にはデフォルト(債務不履行)には陥らない国として認定することを意味し、国内金融市場に心理的な安定をもたらす。キム・ドンヨン経済副首相が昨年10月、中国との通貨スワップ協定を延長した際、「通貨スワップは多ければ多いほどよい。米国であれ、日本であれ、機会があれば結びたい」と述べたのもそのためだ。