■一流ホテルでも崩壊していた職業倫理
各ホテルにはどこも清掃マニュアルがある。多少の違いはあるが、ベッドメーキングやトイレ掃除、コップを洗う時に使用する手袋の色を区別して支給している。ぞうきんやスポンジも用途に応じて使い分ける。これが清掃現場では守られていない。通常、スタッフ1人が一日に清掃する客室数は15室前後だ。勤務時間は昼休みを除いて9時間。マニュアル通り清掃すれば1室約1時間かかるという。一流ホテルの清掃スタッフはほとんどが下請け業者を通じて雇用されている。基本給170万-180万ウォン(約17万-18万円)で、担当する客室が多ければ多いほど給料も上がるシステムだ。より多く稼ごうと、割り当てよりも4-5室多く清掃することが多い。これを「オーバールーム」と言う。ホテルのスタッフだった人物は「良心に従って働いている人の方が珍しい」と言った。他人が見ていない所では基本的な職業倫理が守られていないのだ。清掃スタッフたちは「時間に追われているため、手袋やぞうきんを交換する時間がない」と話す。ソウルの5つ星ホテルで働いていた女性は「最初は教えられた通り徹底して衛生観念を守るが、時間がたつと早く清掃することの方が重要になってくる」と言った。