【コラム】韓国が先進国入りを果たすための最終電車

 ドイツと日本を先頭にリードした革新技術の故郷は、英国だ。革新技術は、主流と既得権が掌握している中心部ではなく、その周囲から出現する。企業家たちは、新しい設備投資が必要な革新技術に代わって、過去のやり方に安住しやすい。1850年代頃、英国に出現した製鉄と紡織分野の革新技術が、こうした不遇な立場に置かれることになったのだ。ドイツと日本は故郷で冷遇された革新技術を果敢に取り入れ、「後発の利点」を最大限に発揮した。ドイツと日本の乗り込んだ自動車が、先進国入りする最終電車だった。

 技術の世界では、効率と非効率、効果と逆効果の差がいち早く現われる。道を間違えたことに気付いたら、車を元の位置に戻すのは容易い。問題は制度にある。多くの後発国家が国のフレームと運営方法を決める制度という障害物に引っ掛かり、そして挫折する。制度は、実施してみるまで欠陥が表に現れない。副作用もゆっくりと現われる。猛烈な痛みも感じないため、自覚症状もない。何だかコンディションが良くないなと感じた時は、すでに病が全身に広がっているのだ。

 制度が恐ろしいのは、中毒症状を誘発するためだ。ギリシャとベネズエラのケースは、誤った制度による弊害を物語っている。一時は「天国に一番近い国」と呼ばれた国なだけに、国民の苦痛も大きかった。ベネズエラは石油埋蔵量が最も多い国、ギリシャは先祖のおかげで観光収入が面白いように入って来る国だ。

 2016年、ベネズエラの物価は700%も高騰した。貧困人口の割合は82%へと拡大した。食事を抜く家庭が増えたため、全国民の75%の体重が平均8.6キロも減ったという信じられない研究結果も提出された。国民の生計は国が責任を負う、という豪言壮談の末路だ。国営テレビのKBSが2006年2月18日、「ベネズエラのチャベス大統領が、米国の一方主義と新自由主義に対抗する代案として浮上している」と、1時間の特集番組を組んだが、その国の現実がこうなのだ。

姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】韓国が先進国入りを果たすための最終電車

right

あわせて読みたい