【コラム】韓国左派の「巨大な錯覚」

 客観的な現実を無視し、浮き雲を追ううちに没落することを「巨大な錯覚」という。マルクスがフランス革命時に失敗した未熟な左派を言った言葉だ。この政府が好きなOECDの集計を見ると、昨年の韓国人1人当たりの所得(国民総所得、GNI)は36カ国中22位だ。これは中下位圏に属する。平均にも達していない。発展途上国は脱することができたが、先進国ではない。

 支出はこれくらいの線にしておいた方がいい。いや、もっとケチな方が賢明かもしれない。韓国にはほかのOECD加盟国にはないリスクが2つあるからだ。1つめは世界最速の少子高齢化により将来の支出が雪だる式に増えるしかないこと。もう1つは南北統一費用だ。今後長年にわたりケチケチしても、いつか韓国の財政は必然的に危機を迎える。中学生でも知っている運命を左派は握りつぶしている。政治的な目的のためだ。ユートピアを唱えながら、彼らが実際に進む方向は正反対だ。

 結局、「巨大な錯覚」の最後は戦時作戦統制権の移譲が飾ることになるだろう。戦時作戦統制権そのものの問題ではない。親米か反米かの問題でもない。この問題を勇気と卑怯(ひきょう)の二分法で見つめる彼らの認識は、「自主国防」の名の下に不要なコストを膨らませ、最終的には国の利益まで害すると思われる。この巨大な錯覚の数々が積もり積もれば、いつか費用の請求書として国民に回ってくる。その暗く憂うつな時期は5年後になるだろうが。

社会部=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)部長
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