文大統領の「原発中断の意欲」も、反戦反核歌を流行させた全大協勢力の大統領府掌握と関連している、と考える人々もいる。反原発勢力は、米軍の戦術核兵器の撤収を主張した反米運動と同一線上にあるというのだ。韓国原子力研究所のチャン・インスン前所長は「北核問題には目をつぶっておきながら、最も安全に運営されてきた韓国の原発を問題視するというのは運動圏の論理ではないか」と主張する。
全大協の活動を行い、「反戦反核、ヤンキー・ゴー・ホーム」を叫んだ人々のうち相当数が、大衆的な政治家として成長した後も相変らずグローバルな視野から見渡すことができていない、といった指摘を受けてきた。韓国よりもはるかに豊かに暮らす米国、英国、日本が再び原子力エネルギーに目を向けようとしている。権威ある国際機関は「原発が排出する二酸化炭素はその他のエネルギーとは比べものにならないくらいに少ない」という事実も発表してきた。こうした状況で、工程30%に迫りつつある新古里原発5、6号機の工事を中断しようという論理は、昔の思考にとらわれているのでなければ、普通に思いつくことではない。
全大協は毎年光復節(日本による植民地支配からの解放記念日/8月15日)が近づくと、「行こう北へ、おいで南へ」と叫びながら通りを練り歩いてきた。南北共同イベントの開催に全てのことを懸けてきた。THAADと原発問題で80年代式の考え方を見せつけてきた全大協主導の大統領府が、今後南北関係もそのようにリードしていくようで気が気でない。